当店では全塗装の作業料金は車種によりパック料金として作業をさせていただいており、塗装したい色によりパック料金に追加料金が発生することがあります。この追加料金は、塗りたい色によって大きく異なり、塗装の手間が増える色や、高価な原材料を含む色があるためです。市販されている車の色はおおよそ対応できますので、可能であれば車種と色名やカラーコードが判明しているとスムーズにお見積もりが可能です。また、輸入車の一部で存在する、日本国内で100台の限定色なども再現可能な色がありますのでお気軽にご相談ください。

追加料金が発生する色の具体例を挙げて説明させていただきます。

ソウルレッド(MAZDA)

いわずと知れたマツダのソウルレッドについてです。

この色はマツダが世界でもっともエモーショナルな「赤」を追求して開発された色です。実はマツダのソウルレッドに2種類が存在します。

まずは最初に発表されたソウルレッドプレミアムメタリック(41V)です。もう一つはその後に開発されたソウルレッドクリスタルメタリック(46V)という色です。こちらはソウルレッドプレミアムメタリック(41V)に比べて彩度を約2割、深みを約5割増したことで、より瑞々しく艶やかな透明感を実現しています。

この2色は実は昔からカスタムペイントの世界で存在していたいわゆるキャンディー塗装になります。
キャンディー塗装の基本は下地にメタリックシルバー系の塗装を行い(1回目)、その上から薄いカラーを塗装する(2回目)塗装方法です。この、薄いカラーを塗装する部分がキャンディー塗装の難しい部分であり、最大のポイントとなります。

この薄いカラーを絵具に例えると、水で薄めた赤色を塗ると、1回塗った部分、2回塗った部分、3回塗った部分ですべて色の濃さが変化します。一般的なカラーでは、塗りすぎて色が変化することはありません。塗装回数を重ねて、色を表現するため、色が変わらなくなった時が、本来の色になるためです。しかしキャンディー塗装では色が薄すぎですと、シルバーが透けて赤が表現できず、色が濃すぎると、シルバーを隠蔽してしまい、単純な赤色になってしまいます。つまり、薄すぎず、濃すぎず、ボディー全体を均等に同じ回数だけ塗装する技術が求められます。異なる色を必ず塗装を2回以上行うこと、ボディー全体を均等に塗装しないといけないことが、作業料金を上昇させる理由になっています。またこの後にクリアー塗装(3回目)を行います。

【参考】マツダ公式ブログより
透過層には、新開発の高彩度な赤色の顔料を用いることで、赤色をよりピュアに発色させています。反射層には、極薄の高輝度アルミフレークに加えて、光を吸収してシェードの濃さを強める「光吸収フレーク」を採用することで、従来は2層必要だった深みの表現を1層で実現しました。

https://blog.mazda.com/archive/20161116_01.html

3コートパール

トヨタのホワイトパールクリスタルシャイン(070)

次は、一般的によく言われる3コートパールについてです。

3コートパールはその名の通り3回塗装を行い、一般的な2コート(ベースカラー+クリアーコート)よりも1回塗装回数を増やすことで、2コートでは表現しきれない色の表現を行います。一番良く耳にするカラーでは、トヨタのホワイトパールクリスタルシャイン(070)などではないでしょうか。
このカラーは、ベースに白色の塗装(1回目)を行い、そのあとに透明感のあるパールベースの塗装(2回目)を行い、そのあとにクリアー塗装(3回目)を行う塗装方法です。

ここで疑問なのは、ベースにパールを混ぜて塗装することができないかということです。実は、パール素材はアルミや原色の顔料と比べて、重いため他のカラーベースと一緒に塗るとせっかくのパール粒子が沈んでしまい、くすんでしまったり、綺麗に光ってくれない、という理由があり、3回塗装することで、きれいな色の表現をしているのです。3コートパールは、3回塗装を行うことと、原材料のパールが非常に高価なことが、作業料金を上昇させる理由になっています。

マットブラックをはじめとする艶消し

次はマット系の塗装についてです。実は艶消しの色というものは無く、通常の色を塗装してから艶消しのクリヤーを塗装します。
そのため、ベースになるカラーは自由に選ぶことが可能です。黄色の艶消しや、赤色の艶消し、シルバーの艶消しなど、艶消し塗装の選択肢は非常に多く、お好みのカラーをマット仕様にすることが可能です。

最近の人気色

ベージュをはじめとするいわゆるアースカラーが人気です。アースカラーは、メタリックや、パールの原料を含まない色が多く、追加料金がかからない色が多いのですが、一部ではメタリック、パールを含む色がありますので、気になるカラーがあればお気軽にお問い合わせください。

ベンタブラックの塗装?

BMWで2019モーターショーで発表されたベンタブラックに塗装できないかと問い合わせがございます。
VANTA BLACKは、実際には顔料や塗料ではなく、カーボン・ナノチューブから構成されるコーティングであり、耐久性も低いので、BMWとしても市販していません。

また、車用の塗料として販売されているものは、このような反射率の低いものはありません。通常の黒、もしくはマットブラックの全塗装は当社で可能です!