今回は愛知県よりお越しのお客様のダイハツミラジーノをローバーミニのブラックに全塗装しましたので作業内容を公開させていただきます。

今回のミラジーノは、経年劣化によりルーフやボンネットのクリア層に剥がれが見られる車両でした。太陽光に含まれる紫外線は塗装の劣化を早めてしまいますので、極力避けたいものですが、それを防ぐには、車庫保管をしたり、カーカバーをかけて太陽光をカットすることが有効ですが、 保管状況を変えることは簡単ではありませんので、現実的にはなかなか難しいのが現状だと思います。

今回のお客様は当店にご来店になる前に、コーティング専門店にクリアーの剥がれの相談をしたそうです。そこでは、コーティングを行えば、クリアー層がはがれた箇所もきれいに仕上げることが可能だと回答をされ、実際にコーティングを依頼されたそうです。その結果が下の写真になります。

クリアー層の剥がれは、ことばのまま「クリアー層が剥がれている状態」です。コーティングではそのクリアー層を埋めてきれいにすることはできません。クリアー層をすべて剥がし、下地処理を行い再塗装するのが最も一般的で有効な対処方法だと思います。今回もそのような方法で作業させていただきましたので、さっそく作業に入っていきます。

まずは傷の確認を行い、分解作業に入っていきます。前後バンパー、ヘッドライトなどを順番に分解していきます。

その後、エクボや凹み部分を修正していきます。今回のお車はあまり目立たないながらも、小さな凹みが数多くありました。エクボや凹みは、ボディー色によって見えやすさが変わります。艶消しのような色だと目立たなく、見えにくいのですが、艶がある黒色では非常に目立ってしまいます。

当店ではUVパテを使用し、作業を行っております。一般的な板金屋さんは昔ながらのポリエステルパテを使用することがほとんどです。そのポリエステルパテを用途に応じて 使い分けています。特に大きな凹みに使用する厚盛り可能な 板金パテ、その後に使用する中間パテ、仕上げ作業に適したポリパテといった具合です。そのほかにもファイバーパテや、1液パテなどもあります。もちろん当店でもそれらのパテはすべて揃えて使用していました。しかし、これらの一般的なパテに共通するデメリットが存在します。それは、パテが硬化後に痩せてしまうということです。もちろん様々なメーカーが日夜研究開発を繰り返し、製品を改良しているのでしょうが、ポリエステルパテではこれを防ぐことが非常に困難です。どのメーカーでも収縮率0%と謳っていますが、残念ながらパテ瘦せは起きてしまいます。厚く盛ったパテほど、この傾向が強く現れ、パテを硬化させた後に痩せてしまうと、修理した部分にパテ跡として現れてしまいます。多少のパテ跡は磨き作業で分からなくなりますが、根本的な解決方法ではありません。

そこで最近注目されているのがUV硬化パテです。一般的なポリパテは硬化剤を混ぜ化学反応を利用し硬化します。一方、UVパテは硬化剤は使用せずに紫外線に反応して化学反応が起こります。そしてこのUVパテの一番のメリットが硬化後に100%収縮しない!ということです。もちろんUVパテにもデメリットはあります。パテが透明なため作業しにくかったり、UV照射機が高価なこと、作業中は太陽光を遮る必要があるなど、UVパテに限った注意も必要です。

クリアー層の剥がれがあったボンネットも同様に作業をしていきます。

下準備が整ったら塗装に入っていきます。マスキングを行い、脱脂後に塗装開始です。

塗装後の写真になります。やはり車の色が変わるとイメージが大きく変わります。

この後、磨き作業を行い、組付け作業です。

今回の重要ポイントのクリアー層がはがれていた、ボンネット、ルーフの写真です。塗装前の状態が信じられないくらいきれいになりました。ボンネットもルーフも、鏡のように周りの景色を映し出しています。

完成後の写真です。

今回のお客様は、クリアー層の剥がれにより、コーティング作業を経て当店にたどり着きました。コーティングでは残念な結果になってしまいましたが、全塗装後の車を見て、大変喜んでいただくことができました。全塗装作業の前に、塗装する色で非常に迷われておりましたので、候補の色でサンプルを作成し、より具体的な提案もさせていただきました。気にされていたメッキパーツとの相性も良く高級感のある仕上がりになったと思います。様々な色をイメージして、愛車の色で迷う時間も楽しみの一つだと思います。色それぞれの特徴や傾向も様々です。メーカー純正色のみではなく、お客様の希望に合わせた特別な色での全塗装も可能ですので、どんなに些細なことでもお気軽にご相談ください。

来店での見積もりご希望のお客様は、あらかじめ連絡をいただけると助かります。